変わらないものと変わるもの

10年以上前に読んだ小説の続編が出版されるというので、10巻以上あるそれをワクワクしながら改めて最初から読み返しています。

すると、以前に読んだ時とは別の場面で、以前とは異なる感情が溢れてきたりもします。

 

小説はもちろん、映画や芝居などヒトの心情を表現する物語に触れることが好きなのですが、不思議とストーリーを詳しくは覚えていません。心が揺さぶられたこと、涙した感情、驚いたことなど、その時々の心情は覚えていますし、その部分の話はもちろん記憶にあって、どうしてそう感じたのかも忘れることはないのですが、その前後のストーリーや、ともすればラストを忘れていることも…。

そのせいか、感情が動いた小説や映画は何度も見返します。

ストーリーを忘れているおかげ(?)で、新感覚で読めたりもします。

そしてその度に感動があるのですが、都度、感じる心の部分は変化しています。

 

ストーリーは変わらないけれど、受け取る側の心は変化する。

当たり前のことなのですが、読み返したり観返したりする度に、それに気付かされます。

また気づかされることが楽しみでもあり、その楽しさを知っているからこそ繰り返し噺をたどることもあります。

 

昨日と同じ今日は今まで無かったし今と同じ明日もきっと、無いでしょう。

未来を想像して不安になることは誰にでもあると思いますが、その一方で、何か楽しいことがあるのではないかという期待感も同時に抱いていたりもします。

 

期待感があるのは、信じる自分を少しでも感じられているからではないでしょうか。

 

読んだ小説が面白かったという体験を覚えているから、また同じ小説のページをめくるように、自分を信じて明日のページを綴っていくと、そこには確かに今日までの自分が重ねた結果が表れることでしょう。

 

ワクワクしながらページをめくるように、自分の明日を、今、創造することを誰もが楽しめますように。 

そんなことを想いながらも、新刊までのあと数冊と新しい噺を楽しみに読む毎夜・・・。

byスタッフ